八王子市のギター教室「Music Studio Polku」の小俣です。
世界のさまざまなギタリストの経歴や演奏スタイル、代表曲などを紹介する「ギタリスト名鑑」。
紹介するのは、ジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)です。

歌のないギターインストゥルメンタルを広く知られる存在へ押し上げた、アメリカ出身のギタリストです。速弾き、レガート、タッピング、ハーモニクス、アーミングなど多彩な技術を使いながら、曲の中心には覚えやすいメロディーを置いています。
この記事では、ジョー・サトリアーニの経歴、代表曲、主な奏法、使用ギターを、ギタリスト・講師の視点も交えながら紹介します。
まずはLIVE映像から
最初に観てほしいのが、「Surfing with the Alien」のLIVE映像です。
高速なフレーズだけでなく、短いテーマを何度も戻し、チョーキングやアームで音を変化させています。ギター一本をヴォーカルのように扱いながら、曲全体の展開を分かりやすく作る演奏です。
ジョー・サトリアーニのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本名 | Joseph Satriani(ジョセフ・サトリアーニ) |
| 生年月日 | 1956年7月15日 |
| 出身 | アメリカ・ニューヨーク州ウェストベリー |
| 主なジャンル | インストゥルメンタルロック、ハードロック、ブルースロック |
| 主な活動 | ソロ、G3、Chickenfoot、SATCHVAI Band、ギター講師 |
| 主な使用ギター | Ibanez JSシリーズ |
サトリアーニは、作曲家、プロデューサー、ギター講師としても大きな影響を与えてきました。
若い頃に教えた生徒にはスティーヴ・ヴァイ、カーク・ハメット、アレックス・スコルニックらがいます。奏法だけでなく、音程やリズム、理論を整理して伝える力が、自身の作曲にも表れています。
ギター講師からソロ活動へ
14歳の頃、ジミ・ヘンドリックスの死をきっかけにギタリストを目指しました。
ジャズギタリストのビリー・バウアー、ピアニストのレニー・トリスターノから学び、音階、和音、リズムを体系的に身につけます。その後はサンフランシスコ周辺で演奏とレッスンを続けました。
1986年に『Not of This Earth』を発表。翌1987年の『Surfing with the Alien』が大きな成功を収め、インストゥルメンタルギタリストとして広く知られるようになります。
『Surfing with the Alien』とメロディー
『Surfing with the Alien』には、表題曲、「Satch Boogie」「Always with Me, Always with You」「Circles」などを収録しています。
技術的には難しい曲が多いものの、テーマが明確で、曲ごとの音色もはっきり分かれています。速い曲、バラード、変拍子的な曲を一枚の中で聴かせ、ギターインストがアルバム作品として成立することを示しました。
1989年の『Flying in a Blue Dream』ではヴォーカル曲も取り入れ、音楽性をさらに広げています。
G3、Chickenfoot、SATCHVAI
1996年に、複数のギタリストがそれぞれのステージと共演を行うツアー「G3」を開始しました。
スティーヴ・ヴァイ、エリック・ジョンソン、ジョン・ペトルーシ、イングヴェイ・マルムスティーンなど、多くのギタリストが参加しています。
また、サミー・ヘイガー、マイケル・アンソニー、チャド・スミスとChickenfootを結成し、歌のあるハードロックでも演奏しました。
近年はスティーヴ・ヴァイとのSATCHVAIとして共作とツアーを展開。長いキャリアの中でも、新しい音色とフレーズを試し続けています。
ジョー・サトリアーニの演奏は何が特徴なのか
1.滑らかなレガート
ハンマリング、プリング、スライドを組み合わせ、右手で弾く回数を調整します。
すべての音を強くピッキングしないため、速いフレーズでも角が立ちすぎず、声のように滑らかにつながります。
2.ピッチ・アクシスを生かした作曲
同じ低音や中心音を保ちながら、その上で使うモードを変える考え方を多くの曲に取り入れています。
コード進行を複雑にしなくても、スケールの響きを切り替えることで明るさや緊張感を変えられます。
3.タッピングとハーモニクス
両手タッピング、ナチュラルハーモニクス、人工ハーモニクスを使い、通常のピッキングでは出しにくい音域と音色を作ります。
効果音として終わらせず、曲のテーマやリズムの一部へ組み込むのが特徴です。
4.アームで音程を歌わせる
Ibanez JSのトレモロを使い、音を下げるだけでなく、細かな揺れ、音への入り方、コード全体の変化を作ります。
チョーキングとアームを使い分けるため、一音の表情が豊かです。
5.テクニックを曲の役割で選ぶ
速弾きが必要な場面では密度を上げ、バラードでは音数を減らします。
一つの曲で技術をすべて見せるのではなく、テーマを最も伝えやすい方法を選んでいることが、長く聴ける楽曲につながっています。
使用ギターと音作り
長年の中心はIbanez JSシリーズです。丸みのあるボディー、弾きやすいネック、ダブルロッキング式トレモロを備え、速い演奏から大胆なアーミングまで対応します。
モデルによってDiMarzioのハムバッカーやSustainiacを搭載し、通常のリードトーンに加えて長いサステインや倍音を作ります。
アンプはMarshallをはじめ、時期によってさまざまな機材を使用。歪み、ワウ、ディレイなどを組み合わせますが、基本には太い中音域と明確なピッキングがあります。
まず聴きたい代表曲・演奏動画
Flying in a Blue Dream
フィードバック、アーム、長いサステインを使い、浮遊感のあるメロディーを作った代表曲です。
Satch Boogie
シャッフルのリズム、低音弦のリフ、タッピングを短い曲へまとめています。速さだけでなく、右手のアクセントを聴くと演奏の立体感が分かります。
Always with Me, Always with You
歌うようなテーマと、滑らかなレガートを聴けるバラードです。チョーキングの到達点と、フレーズ間の呼吸に注目してください。
代表的なアルバム
- 『Not of This Earth』(1986年)
- 『Surfing with the Alien』(1987年)
- 『Flying in a Blue Dream』(1989年)
- 『The Extremist』(1992年)
- 『Crystal Planet』(1998年)
- 『Super Colossal』(2006年)
- 『Black Swans and Wormhole Wizards』(2010年)
- 『Shapeshifting』(2020年)
- 『The Elephants of Mars』(2022年)
ギター講師として感じる、サトリアーニから学べること
サトリアーニの演奏は、技術と音楽理論を曲の表情へ変える良い例です。
新しいスケールや奏法を覚えたら、速く弾くだけでなく、短いテーマを一つ作ってみると理解が深まります。同じテーマをレガート、ピッキング、チョーキングで弾き分けると、奏法ごとの音の違いも分かります。
また、アームやタッピングは大きく動かす前に、音程とリズムを小さな範囲で管理することが大切です。
練習へ取り入れるなら
- 3音のモチーフを作り、違うポジションで繰り返す
- 同じフレーズをピッキングとレガートで弾き分ける
- 一つの低音に対して、二種類のモードを交互に弾く
- ハーモニクスを拍の決まった位置へ入れる
- アームで半音下げ、元の音程へ正確に戻す
- 録音して、速い部分とテーマの音量差を確認する
まとめ
ジョー・サトリアーニは、高度な奏法を分かりやすいメロディーへ変えるギタリストです。
滑らかなレガート、タッピング、ハーモニクス、アーミング、モードを使った作曲によって、ギター一本で多彩な曲の景色を作っています。
まずは「Surfing with the Alien」で全体像を知り、「Always with Me, Always with You」でメロディー、「Flying in a Blue Dream」で音色とアームの表現を聴いてみてください。
主な参考資料
※プロフィールおよびリンクは2026年9月10日時点で確認しています。
DAIJI OMATA

ギタリスト、音楽プロデューサー。
13歳でギターをはじめ、作詞作曲編曲を開始。
以後、バンド活動を経て、ギタリスト、音楽プロデューサー、作編曲家などの現役プロミュージシャンとして活動中。
東京都八王子市みなみ野にて、音楽教室を運営。
めじろ台・相原・片倉・北野・城山・鑓水・高尾・西八王子・橋本・相模原から通いやすい個人レッスンの教室です。


