【ギタリスト名鑑】ジョン・メイヤー|経歴・代表曲・奏法・使用ギターを紹介

八王子みなみ野のギター教室「Music Studio Polku」の小俣です。

ライブでアコースティックギターを演奏するジョン・メイヤー

世界のさまざまなギタリストの経歴や演奏スタイル、代表曲などを紹介する「ギタリスト名鑑」。

紹介するのは、ジョン・メイヤー(John Mayer)です。

シンガーソングライターとして数多くのヒット曲を持つ一方、ブルースを土台にしたギタープレイでも高く評価されているミュージシャンです。

歌を邪魔しないコードワーク、音数を絞ったソロ、深いチョーキングとヴィブラート、アコースティックギターでの独特なリズムなど、楽曲に合わせて演奏の役割を大きく変えます。

この記事では、ジョン・メイヤーの経歴、代表曲、主な奏法、使用ギターを、ギタリスト・講師の視点も交えながら紹介します。

目次

まずはLIVE映像から

最初に観てほしいのが、「Slow Dancing in a Burning Room」のLIVE映像です。

歌の合間へ短いフレーズを置き、後半へ向かって少しずつ演奏の熱量を上げていきます。速いフレーズを並べるのではなく、チョーキング、ヴィブラート、休符によってソロを組み立てる、ジョンらしい演奏です。

ジョン・メイヤーのプロフィール

項目内容
本名John Clayton Mayer(ジョン・クレイトン・メイヤー)
生年月日1977年10月16日
出身アメリカ・コネチカット州ブリッジポート生まれ/フェアフィールド育ち
主なジャンルポップ、ロック、ブルース、フォーク、カントリーなど
主な活動ソロ、John Mayer Trio、Dead & Company、作曲、プロデュースなど
主な使用ギターPRS Silver Sky、Martin OMJM、Fender Stratocasterなど

ジョン・メイヤーは、歌、作詞・作曲、ギターを一人の表現としてまとめてきたアーティストです。

これまでにグラミー賞を7回受賞。「Your Body Is a Wonderland」「Daughters」「Waiting on the World to Change」「Gravity」など、ポップスとギター演奏の両面で評価された楽曲を持っています。

ギターとの出会いとバークリー音楽大学

ジョンは10代でギターを始め、Stevie Ray Vaughanをはじめとするブルースギタリストから大きな影響を受けました。

高校卒業後はボストンのバークリー音楽大学へ進学。短期間で大学を離れ、友人のClay Cookとともにアトランタへ移りました。

現地のカフェや小規模な会場で演奏しながら、歌、アコースティックギター、ブルースのフレーズを組み合わせたスタイルを磨いていきます。

この時期に制作したEP『Inside Wants Out』には、「No Such Thing」「Back to You」「Neon」など、後の活動につながる楽曲が収録されています。

『Room for Squares』とシンガーソングライターとしての成功

2001年にメジャーデビューアルバム『Room for Squares』を発表。「No Such Thing」「Your Body Is a Wonderland」などがヒットし、シンガーソングライターとして広く知られるようになりました。

2003年には「Your Body Is a Wonderland」で、初のグラミー賞を受賞。2004年のアルバム『Heavier Things』に収録された「Daughters」も、Song of the Yearを含むグラミー賞を獲得しました。

初期はアコースティックを中心としたポップスの印象が強い一方、LIVEでは長いギターソロやブルース曲も演奏し、ギタリストとしての側面を少しずつ前面へ出していきます。

John Mayer Trioと『Continuum』

2005年、ベースのPino Palladino、ドラムのSteve JordanとJohn Mayer Trioを結成。小さな編成でブルースとロックを演奏し、LIVEアルバム『Try!』を発表しました。

2006年の『Continuum』では、「Waiting on the World to Change」「Gravity」「Slow Dancing in a Burning Room」などを収録。

コード、歌、ギターソロが互いに主張しすぎず、一つのグルーヴとしてまとまった作品です。ジョンのギタリストとしての評価を決定づけたアルバムの一つといえます。

2007年のロサンゼルス公演を収録した『Where the Light Is』では、アコースティック、John Mayer Trio、フルバンドという三つの編成で演奏。それぞれに合わせてギターの音数や役割を変える姿を確認できます。

活動休止からDead & Companyへ

2011年頃から声帯の不調により、歌手活動の休止と治療を経験しました。

その後、『Born and Raised』『Paradise Valley』では、フォークやカントリーの要素を強め、以前より落ち着いた歌とアンサンブルを聴かせています。

2015年には、Grateful DeadのメンバーらとDead & Companyを結成。膨大な楽曲を演奏しながら、その場で展開を変える長い即興演奏へ継続的に取り組みました。

この経験によって、ブルースの定型的なフレーズだけでなく、コード進行やバンドの反応に合わせてモチーフを発展させる演奏がさらに深まっています。

2021年には、1980年代のポップスを思わせる音像を取り入れた『Sob Rock』を発表。時代ごとにサウンドを変えながらも、歌とギターを中心にした表現を続けています。

ジョン・メイヤーの演奏は何が特徴なのか

ジョンの演奏では、歌とギターが別々に存在するのではなく、ギターがもう一つの声として機能しています。

長く伸ばす音、短く返すフレーズ、何も弾かない場所を使い分け、楽曲の言葉や感情に合わせて演奏を変えています。

1.歌へ返事をするような短いフレーズ

ヴォーカルの隙間に、2〜4音ほどの短いフレーズを入れます。

歌と同時にギターを弾き続けるのではなく、言葉が終わった直後へフレーズを置くことで、ヴォーカルとギターの会話を作っています。

2.親指を使ったコードフォーム

左手の親指で6弦の低音を押さえ、残りの指でコードやメロディーを作るフォームを多用します。

低音を保ったまま内声を動かしやすく、通常のバレーコードよりも余白のある響きを作れます。「Gravity」や「Slow Dancing in a Burning Room」などでも、この考え方を確認できます。

3.右手でリズムと低音を分けるアコースティック奏法

「Neon」では、親指で低音を弾きながら、他の指や手の動きでコードと打音を加えます。

コードを順番に鳴らすだけではなく、低音、和音、ミュート音を別々の役割として組み合わせるため、一人でも立体的なグルーヴが生まれます。

4.音程を聞かせるチョーキングとヴィブラート

ブルースを土台にしたソロでは、ペンタトニックスケールを中心に、深いチョーキングと幅のあるヴィブラートを使います。

多くの音を詰め込むより、一音をどこまで持ち上げ、どのタイミングで揺らすかによって感情を作る演奏です。

5.休符を残したフレーズ構成

ジョンのソロには、はっきりした空白があります。

フレーズを弾いた後に休み、その音がバンドの中へ残る時間を作ります。音数が少ないため、次に弾く一音の変化や強弱が伝わりやすくなります。

6.モチーフを発展させる即興演奏

短いフレーズを一度提示し、リズム、音域、終わり方を少しずつ変えながら展開します。

特にLIVEでは、ドラムやベースの反応を聞き、同じ曲でもソロの長さや盛り上げ方を変えています。覚えたフレーズを並べるだけでなく、一つのアイデアを育てる即興です。

使用ギターと音作り

現在のジョンを象徴するエレキギターは、PRS Silver Skyです。

PRSのPaul Reed Smithと長期間にわたって共同開発し、2018年に発表されました。3基のシングルコイル、5ウェイスイッチ、25.5インチスケールを採用し、ヴィンテージのシングルコイルらしい反応と、現代のステージでの扱いやすさを組み合わせています。

それ以前はFender Stratocasterを長く使用しており、現在も楽曲や場面に応じてさまざまなギターを使い分けています。

アコースティックでは、MartinとのシグネチャーモデルOMJMが代表的です。小さめのOMボディーは低音が膨らみすぎず、細かなコードやフィンガースタイルの輪郭を出しやすい設計です。

エレキの音作りは、クリーンから軽いクランチを中心に、必要に応じてオーバードライブを重ねます。

歪みで音をつなぎすぎず、ピッキングの強弱、ギター本体のヴォリューム、アンプの反応を生かすため、弱く弾いた音と強く弾いた音の差がそのまま表情になります。

まず聴きたい代表曲・演奏動画

Neon

アコースティックギター一台で、低音、コード、打音を同時に組み立てる代表曲です。

特殊なコードフォームや右手の動きに目が行きますが、まずは低音が一定の位置に入り続けていることに注目すると、グルーヴの仕組みが分かりやすくなります。

Gravity

音数を絞ったブルースフレーズと、歌を支えるコードワークを聴ける楽曲です。

チョーキングの音程、音を伸ばす時間、ソロの途中に残された休符に注目してみてください。

Who Did You Think I Was/John Mayer Trio

シンガーソングライターとしての印象とは異なる、太いリフと即興的なソロを楽しめる楽曲です。

ギター、ベース、ドラムの三人だけで音圧を作りながらも、各楽器が埋まりすぎないバランスが参考になります。

代表的なアルバム

  • 『Room for Squares』(2001年)
  • 『Heavier Things』(2003年)
  • 『Try!』(John Mayer Trio/2005年)
  • 『Continuum』(2006年)
  • 『Where the Light Is』(LIVE/2008年)
  • 『Battle Studies』(2009年)
  • 『Born and Raised』(2012年)
  • 『Paradise Valley』(2013年)
  • 『The Search for Everything』(2017年)
  • 『Sob Rock』(2021年)

最初の一枚としては、歌、コード、ブルースギターのバランスが分かりやすい『Continuum』がおすすめです。

アコースティックとエレキの両方を見たい場合は『Where the Light Is』、トリオでの太いギターサウンドを聴きたい場合は『Try!』が入り口になります。

ギター講師として感じる、ジョンから学べること

ジョンの演奏から学べるのは、弾かない時間を残すことです。

ソロでは、覚えたフレーズを続けて弾くほど安心しやすくなります。しかし、短いフレーズの後に休符を置くと、自分が何を弾いたのかを聞き、次の音を選ぶ余裕が生まれます。

伴奏でも、6本すべての弦を鳴らす必要はありません。低音をベースへ任せ、高音側の2〜3音だけを弾くと、歌や他の楽器を生かしながらコードの雰囲気を伝えられます。

ジョンの演奏は、難しいフレーズを増やす前に、曲の中でギターが何を担うのかを考えることの大切さを教えてくれます。

練習へ取り入れるなら

まずはペンタトニックスケールを速く弾くより、2小節の短いソロを作る練習がおすすめです。

  1. 2〜4音の短いフレーズを一つ決める
  2. 弾いた後に1拍以上の休符を置く
  3. 同じフレーズの最後の音だけを変える
  4. チョーキング前後の音程をチューナーや目標音で確認する
  5. ヴィブラートなしの音と、後から揺らす音を弾き分ける
  6. バッキングに合わせて録音し、歌やコードを邪魔していないか確認する

アコースティック奏法では、最初から「Neon」のすべてを弾く必要はありません。

親指で低音を一定に弾き、他の指でコードを一度だけ入れる練習から始めると、低音と和音を分けて考えやすくなります。

まとめ

ジョン・メイヤーは、ポップスの作曲、歌、ブルースを土台にしたギター演奏を一つにまとめたミュージシャンです。

親指を使ったコード、アコースティックでの複合的なリズム、音程の深いチョーキング、休符を生かしたソロによって、ギターを楽曲の中で自然に機能させています。

まずは「Slow Dancing in a Burning Room」で歌とギターの関係を聴き、「Neon」でアコースティックのリズム、「Gravity」で一音の表情に注目してみてください。


主な参考資料

※プロフィールおよびリンクは2026年9月8日時点で確認しています。

DAIJI OMATA

講師の笑顔の写真

ギタリスト、音楽プロデューサー。

13歳でギターをはじめ、作詞作曲編曲を開始。

以後、バンド活動を経て、ギタリスト、音楽プロデューサー、作編曲家などの現役プロミュージシャンとして活動中。

東京都八王子市みなみ野にて、音楽教室を運営。
めじろ台・相原・片倉・北野・城山・鑓水・高尾・西八王子・橋本・相模原から通いやすい個人レッスンの教室です。

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