【ギタリスト名鑑】エリック・ジョンソン|経歴・代表曲・奏法・使用ギターを紹介

八王子みなみ野のギター教室「Music Studio Polku」の小俣です。

ライブでエレキギターを演奏するエリック・ジョンソン

世界のさまざまなギタリストの経歴や演奏スタイル、代表曲などを紹介する「ギタリスト名鑑」。

紹介するのは、エリック・ジョンソン(Eric Johnson)です。

透明感のあるクリーントーンと、ヴァイオリンのように滑らかなリードトーンで知られる、アメリカ・テキサス州出身のギタリストです。

高度なテクニックを持ちながら、速さだけを前面に出さず、メロディー、音色、コードの響きを丁寧に組み立てる演奏が大きな特徴です。

この記事では、エリック・ジョンソンの経歴、代表曲、主な奏法、使用ギターを、ギタリスト・講師の視点も交えながら紹介します。

目次

まずはLIVE映像から

最初に観てほしいのが、1988年に収録された「Cliffs of Dover」のLIVE映像です。

流れるような速いフレーズだけでなく、一音ごとの粒立ち、音を伸ばす位置、コードへ戻るタイミングまで緻密に整っています。難しい演奏を聴かせながら、最後まで明るいメロディーとして成立させているところが、エリックらしい演奏です。

エリック・ジョンソンのプロフィール

項目内容
本名Eric Johnson(エリック・ジョンソン)
生年月日1954年8月17日
出身アメリカ・テキサス州オースティン
主なジャンルロック、ブルース、ジャズ、フュージョン、カントリーなど
主な活動ソロ、Electromagnets、Alien Love Child、G3など
主な使用ギターFender Stratocaster、Eric Johnson Signature Stratocaster、Gibson ES-335など

エリック・ジョンソンは、ギターだけでなく、ヴォーカル、ピアノ、作曲も手がけるミュージシャンです。

代表曲「Cliffs of Dover」は、1992年のグラミー賞でBest Rock Instrumental Performanceを受賞。速弾きの技術と歌うようなメロディーを両立させた、インストゥルメンタル・ロックを代表する楽曲の一つになりました。

オースティンで培った幅広い音楽性

エリックは音楽一家に育ち、幼い頃からピアノに親しみ、その後ギターへ移りました。

ブルースやロックだけでなく、ジャズ、クラシック、カントリーなども吸収し、地元オースティンの音楽シーンで経験を積んでいきます。

1970年代には、ジャズ・ロック/フュージョンバンドのElectromagnetsに参加。複雑なリズムやコード進行の中で演奏する経験が、後のソロ作品にもつながっています。

エリックの演奏は、ロックギターの力強さを持ちながら、コードの響きや音色の細かな変化にジャズやピアノ的な感覚が表れています。

『Tones』から『Ah Via Musicom』へ

1986年にソロアルバム『Tones』を発表。収録曲「Zap」がグラミー賞にノミネートされ、ギタリストとして広く注目を集めました。

続く1990年の『Ah Via Musicom』には、「Cliffs of Dover」「Trademark」「Righteous」などを収録。ロック、ブルース、カントリー、ジャズを行き来しながら、アルバム全体を一つの作品として聴かせています。

特に「Cliffs of Dover」は、ギターインストゥルメンタルとしては珍しいほど明快なメロディーを持ち、エリックの名前を世界へ広げる代表曲となりました。

ソロ活動、G3、現在まで

1996年には『Venus Isle』を発表し、「Manhattan」などで、より空間的で繊細な音作りを聴かせました。

その後もソロ作品を継続して発表する一方、Alien Love Childでの活動、マイク・スターンとの共作、ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイらと共演するG3ツアーなど、さまざまな形で演奏を続けています。

2024年には、ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイとG3 Reunion Tourを開催。その演奏は2025年にLIVE作品として発表されました。

長いキャリアを持ちながらも、同じ音を再現するだけでなく、アコースティック、歌、ピアノ、ブルースなどを取り入れながら表現を広げています。

エリック・ジョンソンの演奏は何が特徴なのか

エリックの演奏では、速いフレーズ以上に、音の立ち上がりと消え方が印象に残ります。

細かな音まで輪郭を保ちながら、全体は硬くならず、滑らかなメロディーとして聞こえるようにコントロールされています。

1.ペンタトニックを広げた流れるようなフレーズ

ブルースで使われるペンタトニックスケールを土台にしながら、複数のポジションを横断し、音域の広いフレーズを作ります。

同じ形を上下するだけでなく、5音単位のまとまり、弦をまたぐ移動、ポジションのずれを組み合わせるため、速くても機械的に聞こえません。

2.一音ずつ輪郭をそろえるピッキング

速いパッセージでも、音量とタイミングが大きく崩れず、フレーズの先頭と終わりがはっきりしています。

右手だけで強く弾くのではなく、左手の押弦、ハンマリング、プリング、ミュートを組み合わせて、不要な弦の共振を抑えています。

3.音程の正確なチョーキングとヴィブラート

エリックのメロディーを支えているのが、丁寧なチョーキングとヴィブラートです。

音程へ到達するまでの速さ、揺らし始める位置、音を止めるタイミングが整っているため、長く伸ばした一音にも明確な表情があります。

4.開放弦を生かしたコードヴォイシング

通常のコードフォームに開放弦を混ぜ、ピアノのように広がりのある響きを作ります。

低音と高音を離して配置したり、コードの一部を残したまま内声だけを動かしたりすることで、伴奏の中にもメロディーを作っています。

5.クリーンと歪みを弾き方でつなぐ

クリーントーンでは弱いタッチまで明瞭に聞かせ、歪んだ音では角を取り、滑らかに伸びる音へ整えています。

機材を切り替えるだけでなく、ピッキングの位置や強さ、ギター本体のヴォリュームも使い、音色の差を演奏の一部にしています。

6.テクニックより先にメロディーが聞こえる構成

難しいフレーズが続いても、曲の中心には覚えやすいテーマがあります。

同じメロディーを音域や強弱を変えて繰り返し、曲の後半へ向かって少しずつ熱量を上げるため、ギターインストゥルメンタルに慣れていない人にも流れが伝わります。

使用ギターと立体的な音作り

エリックを象徴するギターは、Fender Stratocasterです。

「Cliffs of Dover」の録音には、1954年製のStratocaster「Virginia」が使われました。Fenderからは、このギターを再現したモデルや、本人の細かな仕様を取り入れたEric Johnson Signature Stratocasterも発売されています。

シグネチャーモデルは、アルダーボディー、ソフトVシェイプのメイプルネック、12インチRの指板、専用シングルコイル・ピックアップなどを採用。ヴィンテージ感を保ちながら、チョーキングや速いフレーズにも対応しやすい設計です。

音作りでは、きらびやかなクリーントーン、少し太いリズムサウンド、滑らかに伸びるリードトーンを使い分けます。

歪みの量を増やすだけでなく、アンプ、ファズ/オーバードライブ、ディレイの組み合わせによって、高音の角を抑えながら立体感を作るのが特徴です。

ただし、エリックらしさは機材だけでは再現できません。ピッキングノイズを抑え、音の長さをそろえ、休符まで管理することが重要です。

まず聴きたい代表曲・演奏動画

Trademark

クリーンと歪みの中間にあるような音色と、コードを含んだ印象的なテーマを聴ける楽曲です。

単音フレーズだけでなく、コードのトップノートがどのように動いているかに注目すると、エリックの作曲感覚が分かりやすくなります。

Manhattan

ゆったりしたテンポの中で、チョーキング、ヴィブラート、休符を丁寧に使ったインストゥルメンタルです。

速く弾かない場面でも、音色と一音の長さだけで演奏を成立させる力を確認できます。こちらは2023年、オースティンのParamount Theatreで収録された公式LIVE映像です。

Zap

初期のエリックらしいフュージョン色と、鋭いピッキングを楽しめる楽曲です。

複雑なフレーズの合間に短いテーマが何度も戻ってくるため、速さだけでなく曲の構成にも注目してみてください。

代表的なアルバム

  • 『Tones』(1986年)
  • 『Ah Via Musicom』(1990年)
  • 『Venus Isle』(1996年)
  • 『Seven Worlds』(1998年)
  • 『Bloom』(2005年)
  • 『Up Close』(2010年)
  • 『EJ』(2016年)
  • 『Collage』(2017年)
  • 『Yesterday Meets Today』(2022年)
  • 『The Book of Making』(2022年)

最初の一枚としては、代表曲がまとまり、音色と奏法の特徴をつかみやすい『Ah Via Musicom』がおすすめです。

より落ち着いたメロディーや空間的な音作りを聴きたい場合は『Venus Isle』、歌やアコースティックを含む幅広い表現を知りたい場合は『EJ』も聴きやすい作品です。

ギター講師として感じる、エリックから学べること

エリックの演奏から学べるのは、速く弾く方法だけではありません。

同じフレーズでも、音の長さ、強弱、チョーキングの到達点が少し変わるだけで、聞こえ方は大きく変わります。音数を増やす前に、一音が意図したタイミングで始まり、意図した場所で終わっているかを確認することが大切です。

また、良い音を機材だけの結果として考えない姿勢も参考になります。右手を当てる位置、ピックの角度、不要な弦のミュートを整えると、同じギターとアンプでも音の輪郭は大きく変わります。

エリックの演奏は、テクニック、音色、作曲を別々にせず、一つのメロディーとしてまとめることの大切さを教えてくれます。

練習へ取り入れるなら

最初から「Cliffs of Dover」を原曲のテンポで弾く必要はありません。短いフレーズを使い、音の粒と長さを整えるところから始めます。

  1. ペンタトニックスケールをゆっくり弾き、各音の音量をそろえる
  2. 4音ではなく5音のまとまりでアクセントを移動させる
  3. チョーキング後の音程を、目標音と交互に弾いて確認する
  4. 一音を伸ばし、ヴィブラートをかけ始める位置を変える
  5. 開放弦を一音残したコードフォームを作る
  6. 録音し、不要な弦の響きと音の切れ際を確認する

速さを上げるときも、メトロノームの数字より、一音ずつ同じ音量で聞こえているかを優先します。

歪みを減らした状態で練習すると、ピッキングのばらつきや弦のノイズを確認しやすくなります。

まとめ

エリック・ジョンソンは、卓越したテクニックと、音色への細かな感覚を併せ持つギタリストです。

ペンタトニックを広げた流れるようなフレーズ、正確なチョーキング、開放弦を生かしたコード、クリーンと歪みを行き来する立体的な音作りによって、ギターインストゥルメンタルを豊かな楽曲として聴かせています。

まずは「Cliffs of Dover」で代表的なリードプレイを聴き、「Trademark」でコードと音色、「Manhattan」で一音の表情に注目してみてください。


主な参考資料

※プロフィールおよびリンクは2026年9月8日時点で確認しています。

DAIJI OMATA

講師の笑顔の写真

ギタリスト、音楽プロデューサー。

13歳でギターをはじめ、作詞作曲編曲を開始。

以後、バンド活動を経て、ギタリスト、音楽プロデューサー、作編曲家などの現役プロミュージシャンとして活動中。

東京都八王子市みなみ野にて、音楽教室を運営。
めじろ台・相原・片倉・北野・城山・鑓水・高尾・西八王子・橋本・相模原から通いやすい個人レッスンの教室です。

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