八王子市のギター教室「Music Studio Polku」の小俣です。
世界のさまざまなギタリストの経歴や演奏スタイル、代表曲などを紹介する「ギタリスト名鑑」。
紹介するのは、マーク・ノップラー(Mark Knopfler)です。

Dire Straitsのギタリスト/ヴォーカリストとして知られ、ピックを使わないフィンガースタイルと、語りかけるような歌、情景の見える作曲で独自の地位を築きました。
派手な歪みに頼らず、指先のタッチ、コードの一部を使った伴奏、短いフレーズで曲の流れを作ります。
この記事では、マーク・ノップラーの経歴、代表曲、主な奏法、使用ギターを、ギタリスト・講師の視点も交えながら紹介します。
まずはLIVE映像から
最初に観てほしいのが、1996年の「Sultans of Swing」です。
親指、人差し指、中指を中心に弦をはじき、コード、低音、単音フレーズを一つの流れへまとめています。ソロが長くなってもリズムが止まらず、バンド全体のグルーヴを前へ進めています。
マーク・ノップラーのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本名 | Mark Freuder Knopfler(マーク・フロイダー・ノップラー) |
| 生年月日 | 1949年8月12日 |
| 出身 | スコットランド・グラスゴー生まれ/イングランド・ニューカッスル育ち |
| 主なジャンル | ロック、ルーツロック、ブルース、カントリー、フォーク |
| 主な活動 | Dire Straits、ソロ、映画音楽、プロデュース |
| 主な使用ギター | Fender Stratocaster、Schecter、Pensa、Gibson Les Paul、Nationalなど |
ノップラーは、ギター、歌、作詞・作曲、プロデュース、映画音楽を手がけるミュージシャンです。
左利きですがギターは右利き用で演奏し、独特な右手のフォームから乾いたアタックと細かな強弱を作ります。
記者、教師を経てDire Straitsへ
若い頃からギターに親しみ、新聞記者や大学講師として働きながら音楽活動を続けました。
1977年、弟のデヴィッド・ノップラー、ジョン・イルズリー、ピック・ウィザーズとDire Straitsを結成します。
当時は大きく歪んだロックサウンドが主流でしたが、ノップラーはクリーンに近い音とフィンガーピッキングで「Sultans of Swing」を演奏。その軽やかなリズムと明快なギターソロが大きな注目を集めました。
Dire Straitsの発展
『Making Movies』では「Romeo and Juliet」「Tunnel of Love」、『Love over Gold』では長い構成を持つ「Telegraph Road」「Private Investigations」を発表しました。
1985年の『Brothers in Arms』には「Money for Nothing」「Walk of Life」「So Far Away」「Brothers in Arms」を収録。デジタル録音と音楽映像の時代を象徴する作品となり、バンドは世界的な成功を収めました。
ギターは曲ごとに役割が違い、「Money for Nothing」では太く歪んだリフ、「Brothers in Arms」ではゆっくりした旋律を中心にしています。
ソロ活動と映画音楽
Dire Straitsの活動後、1996年に『Golden Heart』を発表し、本格的なソロ活動へ移りました。
カントリー、フォーク、ブルース、ケルト音楽を取り入れ、派手なロックより、物語とアンサンブルを重視した作品を制作しています。
『Local Hero』『The Princess Bride』『Wag the Dog』などの映画音楽も担当。映像の情景を短いメロディーで表す経験は、ソロ作品の作曲にもつながっています。
マーク・ノップラーの演奏は何が特徴なのか
1.ピックを使わない右手
親指で低音、人差し指と中指で高音弦をはじく形が基本です。
弦をつまむように鳴らすため、ピックより丸い音と鋭い音を瞬時に使い分けられます。複数の弦を同時に鳴らすことも、低音と高音を交互に置くこともできます。
2.コードと単音をつなぐ演奏
コードを六本すべて鳴らさず、二音か三音だけを抜き出します。
その間へ短いフィルを入れるため、伴奏とリードギターの境目が自然につながります。
3.ゴーストノートとミュート
音程のある音だけでなく、左手で軽く触れた弦の音や短く切ったアタックを使います。
これらがドラムのような役割を持ち、クリーントーンでもリズムが薄くなりません。
4.コードトーンを狙うメロディー
スケールを上下するより、コードが変わる瞬間に三度、五度などの構成音へ着地します。
そのため、短いソロでもコード進行と強く結びついて聞こえます。
5.歌とギターを同じ呼吸で動かす
ヴォーカルの後へギターで返事をするように、フレーズを配置します。
歌っている最中は音数を抑え、隙間へ短い装飾を入れるため、歌とギターが競いません。
使用ギターと音作り
初期の象徴は赤いFender Stratocasterです。ハーフトーンを含む明るい音と指弾きのアタックが、「Sultans of Swing」の軽やかなサウンドを作りました。
その後はSchecterのStratocasterタイプ、Pensa、Gibson Les Paul、Nationalのリゾネーターギター、Martinのアコースティックなどを使用しています。
「Money for Nothing」ではLes Paulとアンプの組み合わせによる太い歪み、「Romeo and Juliet」ではリゾネーターギターの開放的な響きが重要です。
同じギタリストでも一つの音色へ固定せず、曲の情景に合う楽器を選んでいます。
まず聴きたい代表曲・演奏動画
Sultans of Swing
フィンガーピッキング、クリーントーン、コードと単音の連携をまとめて聴ける代表曲です。
Brothers in Arms
ゆっくりしたテンポで、音を伸ばす位置とヴィブラートを丁寧に聞かせます。音数を減らすことで一音を強くする演奏です。
Telegraph Road
長い曲の中で、伴奏、歌、ギターソロが段階的に変化します。後半へ向かって音数と強さを上げる構成に注目してください。
代表的なアルバム
- 『Dire Straits』(Dire Straits/1978年)
- 『Making Movies』(Dire Straits/1980年)
- 『Love over Gold』(Dire Straits/1982年)
- 『Brothers in Arms』(Dire Straits/1985年)
- 『Local Hero』(映画音楽/1983年)
- 『Golden Heart』(1996年)
- 『Sailing to Philadelphia』(2000年)
- 『Shangri-La』(2004年)
- 『Get Lucky』(2009年)
- 『One Deep River』(2024年)
ギター講師として感じる、ノップラーから学べること
ノップラーの演奏から学べるのは、右手の指を増やすことより、低音と高音の役割を分ける考え方です。
親指で一定の低音を弾きながら、高音側へ短いコードやメロディーを置くと、ギター一本でも複数のパートがあるように聞こえます。
また、コードフォームをすべて押さえる必要はありません。曲の中で必要な二音か三音を選ぶことで、歌やベースの空間を残せます。
練習へ取り入れるなら
- 親指だけで四分音符の低音を一定に弾く
- 人差し指と中指で高音二本を同時に鳴らす
- 低音と高音を交互に置き、音量をそろえる
- コードの上三音だけを使って伴奏する
- 短いフレーズの間へゴーストノートを入れる
- コードが変わる瞬間に構成音へ着地する
まとめ
マーク・ノップラーは、指先のタッチ、短いコード、ゴーストノート、コードトーンによって独自のグルーヴを作るギタリストです。
技巧を前へ出しすぎず、歌や物語を支えながら、必要な場面では長いソロで曲の展開を動かします。
まずは「Sultans of Swing」で右手のリズムを聴き、「Brothers in Arms」で一音の表情、「Telegraph Road」で長い構成の作り方に注目してみてください。
主な参考資料
※プロフィールおよびリンクは2026年9月10日時点で確認しています。
DAIJI OMATA

ギタリスト、音楽プロデューサー。
13歳でギターをはじめ、作詞作曲編曲を開始。
以後、バンド活動を経て、ギタリスト、音楽プロデューサー、作編曲家などの現役プロミュージシャンとして活動中。
東京都八王子市みなみ野にて、音楽教室を運営。
めじろ台・相原・片倉・北野・城山・鑓水・高尾・西八王子・橋本・相模原から通いやすい個人レッスンの教室です。


