八王子市のギター教室「Music Studio Polku」の小俣です。
世界のさまざまなギタリストの経歴や演奏スタイル、代表曲を紹介する「ギタリスト名鑑」。
今回紹介するのは、デレク・トラックス(Derek Trucks)です。

スライド・ギターを中心に、ブルース、サザンロック、ソウル、ジャズ、インド音楽などを結び付けるギタリストです。ピックを使わない柔らかな発音と、声のように滑らかな音程移動によって、独自のフレーズを作ります。
まずはLIVE映像から
Tedeschi Trucks Bandによる「Midnight In Harlem」のソロです。
静かな導入から少しずつ音域を上げ、最後まで一つの物語として組み立てています。スライドの速さより、音程へ到達する角度、ヴィブラートの幅、歌に戻るタイミングが見どころです。
デレク・トラックスのプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1979年6月8日 |
| 出身 | アメリカ・フロリダ州ジャクソンビル |
| 主な活動 | The Derek Trucks Band、The Allman Brothers Band、Tedeschi Trucks Band |
| 主なジャンル | ブルースロック、サザンロック、ソウル、ジャム |
| 主な使用ギター | Gibson SG |
| 主なチューニング | オープンE |
経歴
幼い頃からスライド・ギターを弾き、10代前半にはプロのステージで活動していました。
若くしてThe Derek Trucks Bandを率い、ブルースだけでなくジャズ、ゴスペル、インド音楽などを取り入れます。
1999年にThe Allman Brothers Bandへ正式参加。デュアン・オールマンから続くスライド・ギターの伝統を受け継ぎながら、自身の滑らかな音程感覚を加えました。
妻でシンガー/ギタリストのスーザン・テデスキと活動を発展させ、2010年にTedeschi Trucks Bandを結成。大編成のバンドでソウル、ブルース、ロックを演奏し、歌とアンサンブルを中心にした作品を作り続けています。
Eric Claptonのツアーへの参加や多くの共演を通じて、現代を代表するスライド・ギタリストの一人として評価されています。
主な奏法
オープンEのスライド
開放弦がEメジャーになるチューニングを使い、スライドを同じフレットへ置くだけでコードを鳴らせます。
単音の旋律と複数弦の和音を滑らかに行き来できます。
指で弾く右手
ピックを使わず、親指と指で弦を弾きます。必要な弦だけを鳴らし、同時に不要弦をミュートできるため、歪んだ音でもスライドの輪郭が保たれます。
声のような音程移動
スライドをフレットの真上へ止め、到達前後の速度を変えます。
すぐに大きく揺らさず、音程へ着いてからヴィブラートを加えることで歌うように聞こえます。
モチーフを育てるソロ
短い音型を何度も繰り返し、リズム、音域、強さを少しずつ変えます。
「Midnight In Harlem」では、この方法で長いソロに自然な高まりを作っています。
使用ギターと音作り
象徴的な楽器はGibson SG。ハイポジションへ届きやすい形状と太いハムバッカーの音が、スライド奏法に合っています。
アンプはFender Super Reverb系のクリーンから軽い歪みを中心に、ペダルへ頼りすぎない音作りです。
音色の変化は右手の強さ、ギターのヴォリューム、スライドの当て方で作ります。
まず聴きたい代表曲
- 「Midnight In Harlem」:長い構成を持つスライド・ソロ
- 「Statesboro Blues」:Allman Brothersの伝統を受け継ぐ演奏
- 「Sahib Teri Bandi / Maki Madni」:インド音楽との接点
- 「Bound for Glory」:大編成バンドの推進力
- 「Anyhow」:歌とギターの応答
ギター講師として感じるポイント
スライド奏法では、フレットを押さえる通常の感覚より耳が重要になります。
音程が高ければ少し戻し、低ければ少し進めるという修正を、音を伸ばしている間に行います。
最初から速く動かさず、一音を正しい位置へ止める練習が近道です。
練習へ取り入れるなら
- 12フレット上へスライドを置き、チューナーで音程を確認する
- 5フレットから7フレットへゆっくり移動する
- 音程へ着いてから小さくヴィブラートを掛ける
- 右手の指で不要弦を触れてミュートする
- 3音のモチーフを音域だけ変えて繰り返す
まとめ
デレク・トラックスは、スライド・ギターを人の声のように扱い、さまざまな音楽文化を自然に結び付けるギタリストです。
「Midnight In Harlem」でソロの構成を観た後、「Statesboro Blues」で伝統、「Sahib Teri Bandi / Maki Madni」で表現の広がりを聴いてみてください。
主な参考資料
※プロフィールおよびリンクは2026年9月10日時点で確認しています。
DAIJI OMATA

ギタリスト、音楽プロデューサー。
13歳でギターをはじめ、作詞作曲編曲を開始。
以後、バンド活動を経て、ギタリスト、音楽プロデューサー、作編曲家などの現役プロミュージシャンとして活動中。
東京都八王子市みなみ野にて、音楽教室を運営。
めじろ台・相原・片倉・北野・城山・鑓水・高尾・西八王子・橋本・相模原から通いやすい個人レッスンの教室です。


